『「家族の幸せ」の経済学』発売!

結婚・出産・子育てについての経済学研究をわかりやすく紹介した私の著書が光文社新書より本日発売されました。このブログエントリーではその内容を紹介します。

少人数クラスで学力は上がるか

少人数学級の是非は、教育政策上の最も大きな論点の一つだ。2015年には、財務省と文部科学省の間で、少人数学級の是非を巡って激しい論争が繰り広げられた。 財務省の主張は、少人数学級の効果は見られないので、35人学級を廃止し40人学級に戻すべきというも…

「保育園通いの効果」研究の関連記事一覧

東洋経済ONLINEの「経済学で読み解く現代社会のリアル」というコーナーに寄稿しました。 toyokeizai.net この記事では、国内外の幼児教育の効果に関する科学的研究を広く紹介していますが、その中で、私自身の研究にも軽く触れていますので、この機会に関連…

「根拠に基づいた政策形成」には行政データの活用が鍵

より良い政策を行うためには、質の高い政策評価・プログラム評価が欠かせない。これから行おうとしている政策がどんな成果(とひょっとしたら副作用)をもたらすのか、できるだけ詳しく知ることは、質の高い意思決定につながるためだ。

データ ≠ エビデンス

一般の人々のみならず、教育の専門家・研究者でも、調査を行えば上の疑問に対する答えが得られると思っている人は多い。しかし、調査が行われてデータがあるというのは必要条件に過ぎず、データがあるからといって必ずしも上の疑問に対する答えを得られるわ…

調査は設計がすべて

「この調査、もっと良くすることできませんか?」、「〇〇の効果を知りたいんですけど、この調査からどうすればわかりますか?」といった相談をよく受ける。 大学では政策評価教育研究センターに所属しており、調査やデータ分析に関する相談は大歓迎だ。官公…

「AI失業」は起こらない

人工知能の発達はめざましく、これまでになかったような製品・サービスが生み出される一方、私達の仕事が人工知能によって奪われてしまうのではないかという懸念も抱かれている。オックスフォード大学のフレイとオズボーンの論文によると、アメリカでは次の1…

最低賃金は雇用を破壊するか

最低賃金の引き上げは低賃金労働者の所得増につながり、彼らの生活を改善させると一般に論じられることが多いが、必ずしも、ことはそう単純とは限らない。現在の賃金が労働者の能力に見合った形で支払われている場合、最低賃金を引き上げると企業は利益を得…

幼児教育の経済的利益とは何か?

きのう日経新聞「経済教室」に寄稿したが、字数の制約などのために書ききれなかった内容が多少あるので補足しておきたい。以下の内容は記事と一部重複する。 幼児教育の主な利益は将来の労働所得増加と犯罪の減少 認可保育所に多くみられるような良質な保育…

日経新聞 「経済教室」掲載記事の参考文献

日本経済新聞の「経済教室」というコーナーに寄稿した。 www.nikkei.com 要点は以下の通り。 幼児教育としての保育は、将来的には大きな経済的利益出しうる。 保育所に通うことで、社会経済的に恵まれない家庭の子供達の社会情緒的な能力が改善。 保育政策は…

保育園は子供の発達にどんな影響?厚労省データによる検証

待機児童問題は、長年に渡る重大な社会問題のひとつである。批判はあろうが、待機児童問題の解消は安倍政権も重要視しており、最終的には女性就業率と出生率の向上に結びつけたいようだ。北米・欧州諸国においても保育所の充実は重要な政策課題であるが、日…

高等教育無償化を正当化しうる5つの理由

安倍総理が自民党総裁として示した憲法改正提案には高等教育の無償化が含まれている。当然、財源はどうするのかといった問題が出てくるわけで、財務省は否定的な姿勢だ。